その口コミ信じる!?信じない!?

2018年5月13日

最近の若者は飛び込みでお店に入る事に抵抗があるらしい。自分の入ったことの無い新しいお店に行く前に、インターネットなどでそのお店の情報を調べることでその抵抗を無くしている。そういえば自分もその類かもしれない。居酒屋やバーのメニューや価格、雰囲気など事前に情報を得る事で、安心感や好みの店なのかを判断できる。気になれば入ってみるし、いまいちなら見送ってしまうだろう。そういった心の隙間を埋める意味でも、インターネットネットは情報を得るには欠かせない場所だ。自分や周りの友達が知らない場所も、どこかの誰かが知っている。その知り得た情報がネットワークで共有することができる。おやじくさい発言だが、本当に便利な世の中になった。

その情報の中で、最近メキメキと市場を伸ばしている分野がある。表題のとおり、口コミである。ソーシャルネットワークサービスの普及と共に、たった1つのお店の情報が複数のメディアによって拡散されている。その中でも口コミは、人気のランキングサイトには必ずといっていいほど置かれている欠かせない人気の情報だ。初めて入る飲食店や美容院を、どのような店か判断する為にいちいち口コミに目を通す人も多い。口コミの投稿内容を判断材料にする人も多いだろう。しかしこの口コミ、Twitterやインスタグラムとは違い、投稿者の姿が見えてこない。どこの誰が書いたか分からないにも関わらず、やたら信憑性が高い。なぜどこの誰が書いたか分からない情報を鵜呑みにしてしまう人が沢山いるのか。このことが個人的に不思議でたまらない。

多くの美容室が広告をだしているホットペッパービューティー。ここに一度でも評価の低い口コミが投稿されると、新規の予約がその後ぱったりと途絶える事がある。口コミの影響力はそれほど絶大だ。口コミの投稿件数が増えるだけで、なぜか安心感も生まれる。集団心理なのだろう。多くの人がこのお店が良いと書けばそのように感じ、多くの人が口コミを投稿すれば安心なお店なのだと錯覚する。日本だけapple製のスマートフォンの市場シェアが大きい理由もここにある。子供のうちから知らない間に隣に習えと教え込まれているのか。島国ならではの文化なのか。赤信号、みんなで渡れば怖くないとさえ思えてくる。集団心理とは不思議なものだ。

話がだいぶ逸れたので戻そう。美容院で限った話でいうと、実は自店の口コミは簡単に操作が出来る。なぜなら先ほども書いた通り、どこの誰が書いたか分からないからだ。ホットペッパービューティーではネットから予約し、会計処理をしないと口コミが投稿できないという建前はあるが、そんなものは実際は無いに等しい。アカウントは一人でも時間さえあればほぼ無限に作成出来るし、来店会計処理は0円でも構わない。一連の作業が終わるとすべてのアカウントで口コミが投稿できる寸法だ。口コミを適当に作成し投稿しておけば、その後は人手もかからず、無料でお店を宣伝してくれる。美容室を探している人は勝手に口コミ広告を見てくれるので、外でビラ配りをするよりもはるかに効率が良い。お店の評判も操作でき、一石二鳥だ。これを野放しにする経営者はいるのだろうか?10軒立ったら10軒潰れるこの美容院戦国時代に、馬鹿真面目に戦って勝ち残るのは非常に困難だ。ホットペッパーの掲載費が毎月一流企業のボーナスにも匹敵する事を考えれば、もっとも市場効果の高い分野に力を入れるのは必然だろう。手の空いているアシスタントに書かせれば、人件費までもが浮いてしまうのである。ここまでいけば1害あっても100利ある。どうせやめたスタッフも他の店で同じことをさせられるのだ。悪いことも50歩100歩、これも集団心理かも知れない。

こんな事を書くとすべての美容室の口コミが嘘にみえてしまうかもしれない。しかし、安心してほしい。すべての口コミが作られた物である保障は無い。美容室戦国時代でもカリスマ美容師という武将はいるのだ。結局口コミで印象操作をしても、人口減少がささやかれている街では通用しない。埼玉県では、ここ川口や戸田のような人口が増加している都市や人の出入りが多い地域でないと、偽の口コミで騙せる人数に限りがあるだろう。また、多少口コミと相違があっても価格が低ければこんなものか、と自己解決してくれるが、そうでない場合気に入らなければ2度と来店することはない。今の美容院がだめなら隣の美容院に行けば良いからだ。美容院戦国時代の風習か?

ここでせっかくなので、あやしい口コミを見破るコツでも書こうと思う。まず一番分かりやすいのが、投稿された口コミに返信が無い場合だ。お客様が仕上がりに感動して口コミを投稿してくれたにも関わらず、お店からの返信がない場合は一番怪しい。返信している時間がないという言い訳は通用しない。いずれにせよお客様からの口コミに対して返信をしないというのは大した店ではないので行くべきではない。
その次のポイントは口コミの投稿内容だ。口コミ内容がテンプレになっていないだろうか。シャンプーが気持ちよかった。仕上げが気に入った。気分が変わった、などは頻繁に目にする口コミのテンプレートだ。小学生の作文レベルの口コミの内容が頻繁なお店は怪しい。口下手な自分でも気持ちが通じた、自分の髪質に合わせてくれた、などあたかも個人を捉えたように見せる手法までくると見わけが困難だ。慎重に判断してほしい。また美容師の返信にも注目だ。ここにもテンプレが存在する。しかしこちらはお客様の投稿とは違いテンプレになりがちなのであくまでも最終手段だ。美容師は技術職なので国語が苦手なことも多い。
スタッフ数がある程度限られているお店や、偽の口コミ投稿をおこなう人物が数人の場合は巧妙な口コミを作成しても、表現の言い回しで同一人物と推測できる場合もある。あなたも日常でメールやラインをした時に、独特な表現だと感じた事はないだろうか?文章の語尾や「!」や顔文字の使い方など、不思議な事に違う人物のふりをしていても素の自分表現がでてしまう場合がある。いくつも口コミを読まないと判断できない場合もあるので、こちらは上級者向きだろう。

ここまでは嘘の口コミを見抜く方法を書いたが、逆に本当の口コミを見抜く方法も存在する。それは具体的には書かないが、口コミ投稿をする側される側の立場で考えればおのずと見えてくると思う。口コミの内容をそのまま信じるか信じないかではなく、不可解な口コミも存在していることを知っておくだけでも充分だ。今まで口コミの内容を鵜呑みにしていた人は、是非これからは客観的に見てほしい。そうすることで信憑性の高い情報を判別することができる。あと10年もすれば、この美容院戦国時代も終わりを迎えるだろう。口コミ操作によってお客様を操作している美容院が、情報を選別できるお客様の手によって淘汰され始めている。

※このコラムはフィクションです。実在する機関・団体・名称とは一切関係ありません。
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