【湯シャン】 がおススメできない理由

2018年5月13日

川口の美容室Ribelt「リベルト」です。

シャンプー剤を用いない洗髪方法【湯シャン】をご存知ですか?

「お湯だけでも充分汚れが落とせる」
「シャンプー剤を使わない方が体に良い」
などの様々な噂がありますが、美容師目線では【湯シャン】はおススメできません。

その理由をご紹介していきます。

湯シャン=プレーンリンス

【湯シャン】の名称も知られていますが、美容室では「プレーンリンス」または、「お流し」などと呼ばれています。
2~3分間シャンプー剤を使わずに、お湯だけで頭の汚れを落とすだけの健康法という事で、メディアにも紹介され話題になりましたね。

その洗浄効果はなんと、80%以上の汚れを落とすとも言われています。
(WAXなどのヘアスタイリング剤は除く)

みなさんの中にも、シャンプー剤を使って洗うより、【湯シャン】の方が頭皮に良いと思って、毎日実践されている人もいるでしょう。

しかし、それだけで本当に清潔な状態を保てるのでしょうか?
気になる臭いや、毛穴の詰まりは解消できるのでしょうか?

気になる疑問はありますが、まずは【湯シャン】最低限のリスクについて見ていきましょう。

湯シャンのリスクと原因

湯シャンを行う上で誰もが気になる事が、【本当に清潔な状態に保てるのか】です。

お湯だけで頭髪の80%以上の汚れが落とせると言われていますが、残りの20%の汚れは落ちないと言い変える事も出来ます。
通常シャンプーで落とすはずの残り20%の「汚れ」が落ち切らない場合、以下のリスクが考えられます。

・悪臭
・べたつき
・毛髪への影響「抜け毛」「地肌の活力の低下」など
・地肌への影響「雑菌の繁殖」「炎症や肌トラブル」など

いかがでしょう?
どれも非常に気になる事ばかりですよね?

実はここでの「汚れ」とは、毛穴から排出される「汗」や【皮脂】、古くなった「垢」や「フケ」、あるいは環境による「ちり」や「ほこり」などの事を指します。

このうち一番の問題となるのが【皮脂】です。

【皮脂】は「脂」、つまり「油分」ですので、簡単に水だけで洗い落とす事ができません。

食後の食器を、洗剤を使わずに水だけで洗う事は、誰が見ても困難ですよね?

洗いきれなかった【皮脂】はそのまま放置すると、【過酸化脂質】に変化し、前述した様々なリスクの原因になってしまうのです。

過酸化脂質

地肌から分泌された【皮脂】が、シャンプーによって十分に洗えずにそのまま放置されると【過酸化脂質】という物質に変化します。

【過酸化脂質】とは、頭皮に残った【皮脂】が空気中の酸素によって過剰に酸化した物質です。

一度【皮脂】から【過酸化脂質】に変化してしまうと、通常のシャンプーでも落としにくくなってしまいます。

【皮脂】の分泌量は人それぞれですが、自分がどのような体質なのか自己判断をするのは危険です。

なぜなら、体質は「季節」「年齢」「性別」「食事」「ライフスタイル」など様々な要因で常に変化していくものだからです。

【過酸化脂質】は目視では確認する事は難しく、発生すると頭髪に様々な悪影響をもたらします。

過酸化脂質による 頭髪への影響

【湯シャン】しか行っていない場合、もしくは毎日のシャンプーで頭皮の【皮脂】の洗浄が不充分な場合、あなたの知らない間に【過酸化脂質】が発生しているかの知れません。

それは誰もが嫌がる、「臭い」「ベタツキ」「毛髪への影響」「地肌への影響」です。

では【過酸化脂質】が、一体どのようにそれらを引き起こすのでしょうか?

【過酸化脂質】による頭髪への影響は以下の通りです。

過酸化脂質による影響まとめ

【悪臭】…頭皮に残ってしまった【過酸化脂質】に「フケ」や「垢」が付着したり、雑菌が繁殖したりするなどして起こります。【過酸化脂質】や雑菌の量によって度合いが増し、気が付かない間に空気が汚染されてしまいます。

 

【べたつき】…取り残された「皮脂」がどんどん増殖していき、髪や地肌に付着することが原因です。始めは毛穴付近から発生しますが、徐々に髪の毛先まで汚染が広がりすべてを包み込みます。

 

【毛髪への影響】…【過酸化脂質】が毛穴に詰まり、毛髪の発育に影響が起ります。【皮脂】の分泌を阻害する為に、分泌異常となりホルモンバランスが崩れます。ついには毛根にまで影響を及ぼすことも…

 

【地肌への影響】…毛穴が塞がることにより、浮腫(むくみ)や炎症を誘発します。ばい菌や雑菌の温床となった地肌は、様々な皮膚トラブルの原因となります。

湯シャンに向かない体質

【湯シャン】は性質上、行う人の体質によって良しあしがはっきり分かれます。

【過酸化脂質】が頭髪トラブルの元凶となる為、【湯シャン】は基本的に脂っぽい体質の人には向きません。

今現在の体質が脂っぽい体質でない人も要注意です。

繰り返しますが体質は、「性別」「年齢」「季節」「食生活」や「生活環境」など様々な要因で変化します。

また統計的に、男性でいわゆる中年になると、およそ8割の人が【脂性の肌】になりやすいと言われています。

一部ネットなどで【湯シャン】は薄毛に効果的!と囁かれていますが、男性が薄毛になる中年の頃には【皮脂】の分泌量が増加傾向にある為、【湯シャン】はおススメできません。

【皮脂】の分泌が多い【脂性の体質】の人は【湯シャン】はするべきではないでしょう。

実体験に基づいた 脂性の体質と湯シャンについての考察

実際に私は、今までのサロンワークの中で200倍のマイクロスコープを使い、多くの男性の頭皮を見てきました。
しかし毎日シャンプーしている人の中にも、地肌で酸化して塊となった【過酸化脂質】を多く見かけます。

当然ながら【湯シャン】だけでは、このような酸化して固まっている皮脂を綺麗さっぱり落とすことは不可能です。

【湯シャン】が頭皮にいいと思っている人の中には、このように考える人もいます。

日常的に洗浄力の強いシャンプーを使うので、頭皮の皮脂が過剰に洗われしまい、その反動で体がさらに多くの皮脂を分泌するようになってしまうと…

つまり慣習的に地肌の皮脂を奪うことで、恒常的に脂性の体質になってしまうのだというのです。

しかし残念ながら、私の経験上その理屈を全て正しいとは思いません。

普段私は、基本的に一日一回しか自分の頭をシャンプーしません。
ですが洗顔は朝と晩2回行う事が多いです。

一方で美容師という仕事の都合上、手だけは一日に数十回以上洗います。

お客様にシャンプーやプレーンリンスを行う時にも一切グローブはしませんし、食器やカラーのカップ、パーマのロッドやアプリケーターなど、全て素手で一日に何回も繰り返し洗っています。

ですが不思議な事に手荒れはほとんどありません。

先ほどの話に置き換えると、私は日常的に手の皮脂を過剰に洗浄している状況です。
先ほどの理屈が正しければ、私の手は度重なる過剰洗浄の反動で、皮脂が無情に溢れる近況になっていなければなりません。

ですが休日になにもせず放っておいても、顔より手がテカテカになる事はありません(涙)
一方で、朝入念に洗顔した顔面は、昼食前に皮脂でテカテカになってしまいます(涙)

ですので皮脂を過剰に取り除いても、その反動で過剰に皮脂分泌がおこる事には限度があると考えています。
(冬になると、頭部と手を除く全てが乾燥でカサカサに…)

湯シャンまとめ

脂質による毛穴の詰まり

お湯や手指を使った物理的な方法では、毛穴に詰まった【過酸化脂質】は完全に取り除けません。

【 過酸化脂質】は臭いなど様々なトラブルの原因になり、頭皮の常駐菌である【マラセチア菌】の増加にもつながります。

雑菌の増殖によって、加齢臭は装飾され、屈辱的な異臭が周囲を猛襲するでしょう。

社会的な身だしなみを整える為のスタイリング剤、オイル系の流さないトリートメントやUVケア用品は水分に強く落ちにくいです。

髪にスタイリング剤が不要な真のエフォートレスな方、頭皮の皮脂バランスが良い方のみ湯シャンは許されるのではないでしょうか。

それでも絶対に人間の動物的においは強くなります。
それでもかまわない方のみ、湯シャンライフをエンジョイしていただければと思います。

くれぐれも【スメルハラスメント】にならないように周囲にご注意願います。

以上【湯シャン】がおススメできない理由でした。

最後までご覧いただきまして ありがとうございます

トップページへ